はじめに
パソコンでの作業が日常的になった現代、タイピングの効率や快適さは作業全体の生産性に大きく影響します。多くの方が標準的なQWERTY配列を使っていますが、実はもっと効率的で指に優しい配列が存在します。それが「Colemak(コールマック)」配列です。
続きを読む: Colemak雑感かく言う私もColemakを使いだしてから二三年経ちますが、いまだに慣れません。
「なんでそんな事してんの?」と言われそうですが、結論から言うと「ボケ防止にいいんじゃないか」と思ってやり始めました。
まぁ……ボケ防止にはなりました。
こんなページに辿り着いた人なら既にご存知でしょうがColemakについて説明させていただこうと思います。
Colemak配列とは?
「Colemak配列は、QWERTY配列の欠点を補い、より快適で効率的なタイピングを目指して設計されたキーボード配列」です。2006年にShai Coleman氏によって考案され、英語圏を中心に徐々に支持を集めています。
そもそもQWERTY配列は、19世紀にタイプライターのために設計されたキーボード配列です。タイプライターというのはボタンを押すとそれに対応するハンマーが伸びてインクリボンを紙に押し付けて印字します。つまり、パソコンのキーボード感覚でダカダカ打っていると狭い印字エリアにハンマーが集中してすぐ衝突、詰まることになります。そのため、これを防ぐために、よく使われる文字の組み合わせが連続して打たれないように、頻出文字を物理的に離す配列が考案されました。それがQWERTY配列です。
しかし、現代のコンピュータではこのような物理的な制約は存在しません。それにもかかわらず、QWERTY配列はデファクトスタンダードとして広く普及し続けています。これは歴史的な経緯によるものであり、必ずしも効率的なタイピングを実現するための最適な配列ではありません。実際、QWERTY配列は指の移動距離が長く、タイピングの疲労を増加させる要因となっています。
このような背景から、より効率的で快適なタイピングを実現するために、Colemak配列のような代替配列が提案されています。
Colemakのメリット・デメリット
まずはメリットとデメリットを列挙してみましょう。
メリット
- 指の移動が少ない
- 学習コストが低い
- タイピング速度の向上
- 健康面での利点
デメリット
- 小指への負担
- ゲームと相性が悪い
- ローマ字入力と相性が悪い
- 対応キーボードが少ない
比較解説
以下はメリットを中心にデメリット併記で解説していきます。
1. 指の移動が少ない?
Colemak配列は、よく使うキーがホームポジション(指を自然に置く位置)に集まるように設計されています。そのため、指の移動距離がQWERTY配列に比べて大幅に減り、疲れにくくなります。
そのかわりピアニストかっていうぐらい小指を使いまくります。
Colemakはホームポジション、特に右手に母音が集中しています。oは右小指、iは右薬指のため、QWERTYであればあまり出番のない指を頻繁に使うことになります。
この負担がなかなかのもので、最初はきっと面食らうことでしょう。
しかし、慣れるとサカサカと文章を書けるようになるので気持ち良いタイピング感が味わえます。
2. 学習コストが低い?
Dvorak配列など他の代替配列と比べて、ColemakはQWERTY配列との共通点が多く、記号やショートカットキーの位置もほとんど変わりません。そのため、QWERTYからの移行が比較的スムーズといえます。
ただしゲームでキーボードをよく使う人は頻繁にColemakとQWERTYを往復せざるを得ず、二種類のキー配列を覚える必要があります
完全に仕事向けの環境であればいざしらず、ゲームをやる場合はこれが地味に効いてきます。なぜなら大半全てのPC向けゲームはQWERTYを前提にホットキーが設定されているので、それ以外のキー配列でやると地獄を見ます。
設定変更が出来るゲームも多いですけど全てのゲームで設定を切り替えていくのも現実的ではなく、シーンに合わせて配列を切り替えることがいいでしょう。
私の場合は後で紹介するキーボードで適宜設定を切り替えてやっています。こういうブログの記事を書く時はColemakです。
また、Vimとも相性が悪いです。
Vimでカーソルキーを使わない人はhjklで移動することになりますが、Colemakでは当然ながらこのキー配列が一直線ではなくバラバラになるためデフォルトの設定では使用に適さなくなります。
まあ、設定を変更すれば簡単に対処可能なので気合の入ったVimmerさんならそんなことは問題ではないと思われますが。
3. タイピング速度の向上?
指の動きが最適化されているため、慣れてくるとタイピング速度が自然と上がります。特に長文入力やプログラミングなど、タイピング量が多い方には大きなメリットです。
ただしメリケンに限る。
なぜかというと、Colemakは英文入力には非常に適しているのですがローマ字入力に対して適切かと言うと個人的意見ですがQWERTYに軍配が上がります。
例えばヘボン式における「ツ」は「TSU」ですが、ColemakではTとSが隣接しているので地味に入力しにくいです。なので、私はいつもヘボン式、訓令式まぜこぜのColemak式でローマ字入力をしています。
そのような少々のデメリットはありますが、全体的なタイピング速度の向上は大きいです。あくまで体感の世界ですがColemakに慣れていけばQWERTYの時ほど集中しなくても安定して高い速度でタイピングできると思います。
なお、Colemakをやる時は日本語配列キーボードでやるのもいいですが左側にあるBackSpaceの配置をControlに置き換えて、IMEの切り替えはControl+Spaceにしておくのがおすすめです。
正直なところこれが日本語ユーザの最適解と思っています。
4. 健康面での利点
無駄な指の動きが減ることで、腱鞘炎や手首の痛みなどのリスクも軽減されます。長時間タイピングする方にとっては、健康面でも大きな恩恵があります。
ただし、先述の通り小指だけは慣れが必要です。
どうやって始める?
Colemak配列はWindows・Mac・Linuxなど主要なOSで簡単に導入できます。最近は知名度も上がってきたようです。
まずは練習サイトでお試し
私のおすすめサイトはこちら。 ここでは普通のQWERTYキーボードでColemakの入力を練習することが出来るので便利です。
キーボードのおすすめ
基本的にキー配列を変更できるものなら何でもOKなのですが、私が使っているものを二点紹介します。
このキーボードが素晴らしいのはスイッチひとつでColemak/QWERTYの切り替えが可能な点です。
ここまでサポートしてくれている日本向け製品はこれだけなのではないでしょうか。
アメリカSystem76社が販売するカスタマイズ性の高いキーボードです。
自作キーボード界隈からしてみれば特に珍しいものではないでしょうが、キーボードのカスタマイズツールがWindows, Linuxともに公式から提供されているので色々なOSで利用される方には良い製品だと思います。
まとめ
色々良さげなことを書いていますがColemak一本じゃなくてQWERTYをゲームやら仕事やらで往復しているので頭の中に二種類のキーボードを入れておかざるを得ず、QWERTYならば目をつぶっていても打てるのに二種類キーボードを覚えたために混乱する事は多いです。
実際のところ常に自分のデバイスを扱うという人でもない限りQWERTYとの縁は切っても切れないため、結局複数種類を扱うというのは避けられないでしょう。それでも学習するメリットはあるか? と言われれば、私にとってはあった、と言えるでしょう。プログラマとして英文を入力することはよくあるため、入力の負担が軽いColemakはメリットが大きいです。それに、慣れてくると(≧一年)日本語も打ちやすくなって思考とキー入力のタイムラグが小さくなったことを実感します。
まあまあ茨の道かと思われますが、QWERTY配列に慣れている方もぜひ一度Colemak配列を試してみてください。
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